嘘と真実

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もう少しで眠りそうだったのに 突然あいつは私の腕を掴んだ 「なあ…お前また切ったの…?」 そんなはずはないと 左腕を見るとぷっくりと 赤く膨れ上がった三本線が見えた ああ、薬飲む前に切ったんだな 「おれさ、頼りないけど お前の彼氏なんだよ。 もっと頼ってくれよ…なあ… なんかおれさ お前の一番傍にいて こんなに近くにいるのに お前が届かないんだよ」 泣きながら言うあいつが愛しくて 抱きしめながら言った 「ここにいるから寝なさい」 あいつはまた朱夏、朱夏と 何度も私を呼びながら 眠りに落ちた 初めて逢ったときは この人は大人だなと思ったのに 今じゃもう駄々をこねる小さな 子供のようだ 時計を見るともう朝の5時を 指そうとしていた 「私も寝なくちゃな…」 そう思ったが まるまる3日寝ている体だ。 寝られるわけもない そういえば煙草がきれそうなんだ と思い出してコンビニへ向かった。
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