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「鈴木くん!」
突然後ろから声を掛けられて振り向くと、そこには同じクラスでサッカー部のマネージャーだった女子が立っていた。
「おう、どうした?」
「あのね、これ渡し忘れてたの」
そう言って彼女が出したのは一枚の色紙。
「こないだ部活のお別れ会したときこなかったでしょ?これ、みんなから」
ごめんね、遅れちゃって。と言って渡された色紙には後輩やマネージャーたちからの寄せ書きがカラフルに書かれていた。
「ありがとなー。こいつに渡してくれときゃよかったのに、わざわざ悪いな」
そういうと彼女は少し眉を下げて笑った。
「ごめんね引き留めちゃって。また、明日ね」
ばいばい、と言って去っていく彼女に手を振っていると、隣のこうちゃんがため息をついた
「お前、鈍感だよなぁ」
「は?」
「なんでもない」
ふと貰った色紙に目を落とすと、男子部員の汚い文字に混じって丁寧な丸文字が見えた。
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