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『好きだ』
ポツリと呟かれた一言に全思考が持っていかれた。
そのままゆっくり十数秒。
私は呆然と立ち尽くしたまま。
「…………………………は?」
間抜け面で問い返すが、目の前の男の子はただジッと私を無表情で見つめ続けるばかり。
「……えっと……………………ありがとう…?」
考えて考えて出てきた言葉はそれだった。
言った直後に自己嫌悪が募る。
(私のバカ!何で疑問系!?)
彼は相変わらず無表情で私を見つめ続ける。
この“間”に私は耐えらなくなってきた。
だが身体も動かない。
指先一つとして動かせない。
(金縛り…ってこんな感じ?)
暫くすると彼は『じゃ』と言って去っていった。
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