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「っ……」
怒声と共に一瞬だけ突き刺さるクリスの目付き。
普段からのクリスからは想像できない鋭さで俺を含めた五人は背筋が凍ったように一瞬動けない。
だが、俺達が固まってる間にもクリスと魔物は競り合っている。
こうなれば必然的に……。
「ちっ……早く家に戻るぞ!」
俺はシュウを抱えて家に向かって駆け出した。
他の三人も俺を見ると慌てて着いてくる。
ドアを勢いよく開け、直ぐに家に入ると未だ固まるシュウをリビングに降ろす。
「お前らは絶対家から出てくるなよ?」
震える声を抑え、出来るだけ優しく言ったつもりだが、俺自身魔物に恐怖を覚えていた。
足が笑っているし、心臓が脈打ちっぱなしだが三人は直ぐに頷いて、シュウに引っ付くように集まる。
「……さて」
これでとりあえずはひと安心……だが、外ではクリスが魔物と戦っている。
あんな巨大な魔物だと強いとわかっているクリスでも下手すれば死んでしまう。
「……よしっ!」
俺じゃ役に立たないかもしれない。だけど、このままじっとしてるのは御免だ。
リビングから階段で二階に上がり、自室へと向かった。
「実戦なんか初めてとか言ってられないよな……!」
ドアを開けるとシンプルな部屋が視界に入る。そして、そのすぐ傍……机の上に置いてある一つの箱に近付いた。
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