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外へ出ると、左右に見えるのは森林とさっき依頼で働いていた畑。
目の前には一本道がかなり先まで続いている。
その真っ直ぐな道を走り始めて数十分。
和やかで平和な景色とは打って変わり、見えてくるのは街"だった"所である広場。
何かに引き裂かれたような跡、大きな何かで破壊された跡。
先程の家のようなものは全く無く、あるのは廃墟……だけ。
辺りも同様で家だった物や建物も全て傷だらけで、人通りも全くと言っていいだろう。
――ただ、一つを除いて。
「だるまさんが……転んだ!」
「うぇ!?」
「あは!次はシュウがだるまさんだよ!」
「シュウだるまさーん!」
その広場の向こう側から小さく聞こえる楽しそうな声。
足を運ぶと少しずつ見えてくる立派とは言えない一つの建物。
そして、この建物こそが俺の――。
「あ、楓にーちゃんだ!」
「にーちゃーん!腹へったー」
「よう元気なチビ共ー!いい子にしてたかー?」
"みんなのおうち"。俺の帰る場所だ。
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