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「そこで思ったんだけど……」
「…………」
俺は口を開かない。なんとなく今から言う事がわかるからかもしれない。
「ギルドに楓やあの子達の生活を保証してもらえるなら復帰しようかな、ってね」
予想通りだった。
クリスが強い事は俺だけが知っていた。
チビ達は知らないが、今までに何度か魔物がここに来ることがあったからだ。
たまたま外でトレーニングをしていると、広場に体がスライム状の魔物が現れたのだ。
その瞬間俺は家に入り、クリスに伝えると、クリスは目の色を変えて外に駆け出した。
俺も最初は焦り、急いでクリスを追ったが、突然の光景に足を止めた。
――突然魔物を氷づけにしたからだ。
そして数歩下がって指を弾くと氷は砕け散り、思わず鳥肌が立った事を覚えている。
それからは魔物が来るとクリスは一番に駆け付け、退治していた。
そのお蔭もあり、チビ達は魔物を見たことがなく、怖がること無く外で遊べているわけだ。
「あの子達は皆目の前で両親が殺されて心に傷を負ってる……魔物を見た瞬間、更に心の傷が深くなると思う……だから――」
胸に手を当て、クリスが俺を見ると同時に何かが起こった。
――ギィィヤァァァァァ!!
「っ!?」
突然身震いが起こりそうな程の雄叫び。
俺とクリスは目を合わせ、急いで外に出た。
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