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「ママを返せぇぇぇぇ!」
「お前達のせいでパパやママがぁぁぁぁぁぁ!!」
「っ!?」
外に出ると、そこには泣き叫びながら石を投げる四人の子供。
そして。
――ギィィヤァァァァァァァァ!!
体長十メートル程あるであろう、魔物。
顔は鳥。胴体は獣。背中に巨大な翼を広げ、尾からは蛇が威嚇をするように子供達を睨み付けていた。
「なんだ……この魔物……」
そんな見たこともない大きさの魔物を目にした瞬間、俺の足は震えて動けなくなっていた。
だが、そんな巨大な魔物に対して未だ子供達は石を投げつける。
石がいくら当たってもびくともしない魔物だが、ゆっくりと下を見下ろし、子供達を視界に入れると―――
――シャァァァアアァァァァァァ!!
顔を急降下させ、子供達を食らいに掛かった。
それでも子供達は混乱が治まらないのか、石を投げるのを辞めない。
そんな状況に俺も無意識に子供達に駆け出す……が。
「そんなことさせない……わよ!!」
いつの間にか横に居たクリスが魔物の顔の前に出る。
そして両手を前に差し出し――
「"氷壁"!」
五メートル程の冷気を放つ壁を出現させた。
「楓!早くこの子達を家に!」
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