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ある日の昼頃、そこの小さな町では、いつも通り平和な日常が繰り広げられていた。
空は青く、太陽はギラギラと光っている。
町は首都とは違い、喧騒のない、落ち着いた雰囲気を纏っていた。
町の門はあまり使われず、一日中閉じられたままということは珍しい事ではない。
だからと言って寂れているわけでもなく、小さな町独特の活気があった。
そんな町のなか、彼は顔を上へと向ける。
彼は道の真ん中を、ボーッとつったって、右手に何らかの紙が握られていた。
その手は自分の手前辺りまであげられている。
彼の目線は、真っ直ぐ太陽を走っていた。
何か考え事をしていた用で、すぐに彼の目線は手前にある紙へと注がれた。
そして彼は誰にも聞こえないような声でボソッと呟く。
「……八百屋って、どこにあったっけ」
どうやら彼は、目的地を見失ったようだ。
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