始まりの町

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その後、ハイネスに道案内をしてもらって、どうにか頼まれた物を買うと(迷ったんじゃないよ!)自分の家に帰ってきた。 「ただいまー」 「お帰りー」 すると向こう側から声が聞こえた。 女の人の声で、若い声ではなく、少ししわがれていた。 そして、部屋越しにではあるが、グツグツと料理をしている音が聞こえてくる。 僕は靴をはいたまま奥に行き、白のタイルを踏む。 壁も白い壁紙が張られているが、高級感はせず、庶民的なものが使われている。 そのまま向かって左側にあるドアをあけた。 そこで一人いそいそと料理作りにはげんでいる人に声をかけた。 「母さん、頼まれた物を買ってきたよ」 僕は袋を相手に掲げて相手に差し出す。 すると、相手はピタリと料理を作っていた手を止める。
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