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「よーし、そのまま全員を縛りあげろー」
兵隊の中から指示を飛ばしているのは、体が細長く、明らかに頭の中身がなさそうな男、
その男は住民が縛り上げられていく構図を、ニヤニヤしながら見ている。
僕はどうにか状況を打開出来ないかと、体を動かして見るが、ダメだ、手足がすでに縛られている。
「おい!住民の一人が目を覚ましたぞ!」
兵隊の一人が僕が目を覚ましたのに気付いたのか、指示をだしている男に声をあげる。
それを聞いて、男はこちらに向かって歩いて来る。
ついに目の前までくるが、僕は見つめ返す気力もなく、ただ俯いていた。
「おい、ガキ、ちょっと面見せろ」
僕は上を向かない。
わざわざそんなことをする意味も分からない、
「おいガキ、俺はちょっと面見せろっつってんだよ!」
僕が命令を聞かなかった事に腹がたったのか、胸ぐらをつかんで無理矢理僕を立たせる。
男は眉間にシワを寄せ、食い入るように僕を見つめる。
「あんだよ、俺の命令を無視したから、どんないきのいいガキかと思ったら、目が死んでんじゃねえか」
男の表情から好奇心が消え失せ、命令を無視された怒りだけが残る、
が、すぐに男の目は嗜虐心を満たそうとする残酷なものに変わる、
「おいガキ、てめえこの町が最後にたどる末路と経緯について教えてやるよ」
男は僕の目に動揺が映るのを見逃さなかった。
「そんなに知りてえのか、まあ焦るなよ、どうせ数分の命なんだよお前も」
僕は、目の前にいる男が怖くて仕方ない、
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