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男の剣を止め、抗議の声を止めた人は、
「曲がりなりにもダインさんはキュリム殲滅の現場監督だ、逆らうわけにはいかんだろ」
「……ハバラクさん!」
他でもない、僕を気絶させて連れてきた張本人だった。
「ハバラクさん!どうしてこんな真似を!」
僕は黄緑のオールバックで、どちらかと言うとやせ形のおじさんに叫んだ。
「…ガキは知らなくていいことだ」
「ハバラクさん!」
「まあそう拒絶してやるなよハバラク、簡単な事だよ、自国には家族がいる、なのに自分の勝手な私情で裏切るわけにはいかねえだろ?だって身内が殺されるんだから」
と、突然割り込んできた男は、口早く説明する。
「だ、ダインさん」
ハバラクさんの狼狽の仕方から見てもどうやら本当らしい。
「だから殺させるんだろうがよ! 俺もこの任務につかせてもらってからゾクゾクしてたまんねえんだよ!ずっと同じ屋根の下で生活しているやつらを、苦悶の表情で殺す、ホント王様もいいこと考えるよなあ!こんな美味しい状況で、切らせないわけねえだろうが!ヒャハハハ!!!!!」
男は尚も止まることなく喋り続ける。
ハバラクさんは、何も言うことなく、ただ射抜くように男を睨み付ける。
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