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「……私も最初はそんな予言書など塵ほども興味は無かった」
ガルモの声はズシンと沈んでいて、場の空気を重くするには十分な威力があった。
「私が最初に疑問に思ったのは、カーシュ、貴様がリマークの代表としてここに来たときだよ」
「え、私ですか?」
「そうだ」
ガルモはきょとんとしているカーシュに頷いた。
カーシュはいかにも意味がわからないという風にガルモを見つめるが、ガルモにふざけている様子はない。
「私はあの時、国の代表として貴様が、この会議では異例の寄せ集めとすらおもえる貴様が来た、というのに、思っているほど驚かない私がいたのだ」
それは、一種の皮肉とも呼べる言葉、
だが、それは仕方のないこと、
何故なら、事実なのだから、
「そう、まるで貴様が来るのがわかっていたかのように」
そこで、ロカが不快そうに眉をひそめ、メイルが細い目を一層細めた。
「察しの良いものは分かったようだな」
ガルモの言葉に、ロカが答える。
「ああ、不気味な話だぜ」
「つまり、どういうことでしょうか?」
カーシュの質問を、ガルモを引き継ぐ形でロカが喋る。
「……予言書は破滅への道を日記形式で書かれたものだ、そこにお前と同じ容姿をした人間が、同じ日に代表としてくるっつう事が書かれてたんだろ?」
「!」
理解出来てなかっただろう三人の表情に驚愕が走る、
それはそうだろう、まさか新しく入る王のことが予言されていた、とは予想できるはずがない。
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