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「人類滅亡日記に記されることを鵜呑みにすれば、一番最初に落ちる町はキュリムと記されている」
「キュリム?聞いたことがありませんが」
「当たり前だろう、私も日記を見るまで知らんかった」
「いえそれはそれでどうなんでしょう」
当たり前のように言うガルモに、カーシュは思わず突っ込んでしまう。
ガルモはそれをスルーし、話を進める。
「そして、キュリムが落ちたあと、次々と町が落とされ、最後にはルーランドが落ちる、と」
「な……!」
それは国家に対する反逆にならないか!?
という言葉を、カーシュはギリギリの所で止める。
そういえばそうだ、とカーシュは心のなかで毒づいた。
そう、そんなことカーシュが言うまでもなく、ダムスのそれは国家に対する反逆と捉えられ、歴史の闇に葬られたのだ。
ダムスは様々な分野で自己の才能を発揮したが、国が滅ぶなどという予言をしたせいで、ガルモによって始末された。
表向きでは病死となっているが、カーシュ含めこの場にいる全ての王はその事を確信している。
ダムスは、余計なことをいったから殺された、と。
普通に考えればなるほど、この日記はルーランドに対する反逆と捉えられなくもない。
最初に落ちると言われたキュリムはルーランドの所有している町だし、他の町も全てルーランドの所有している町だ。
新しく作られたモーガルトもルーランドが所有している。
「そして、五番目に落ちるとされている町がモーガルトと書かれている、故に第五の町」
「ええ、わかりました」
その事以外にも、とカーシュは心のなかで付け足しておく。
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