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「それで、その日記について、どのような措置をお取りになられるのですか」
メイルが低い声で話をガルモに催促する。
「ああ、もう滅亡の日は近い、もう一刻の猶予もない」
ガルモも催促されるままに始める。
「出来れば、この手段は使いたくなかったのだか……」
そこでガルモは一拍おき、
「日記で言うところの、滅亡の原因となる、キュリムを地図上から消そうと思う」
「……」
ガルモの言葉に、ただ黙りこんだ。
そのなかで、カーシュは机の下で握りこぶしを作っていた。
「(キュリムを地図上から消すだと?曲がりなりにも一代で国を作り上げた最強の王と畏怖される人間が、自分の町を?馬鹿げている、何のための国だ、何のための王だ!)」
心のなかで思っていても、それをくちにすればどうなるか、結果は火を見るより明らかだ。
だからこそ、カーシュは必死にこらえる。
ここで無駄なことはすまいと、手が白くなるくらいに握る。
「異論はないようだな」
ガルモは回りに確認をとる。
ここでは、誰も手をあげることはなかった。
「では、これにて6カ国機密会議を終わる、以上、解散」
ガルモの合図により、今日の会議は幕を閉じた。
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