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少女のもとへとたどり着く頃には、服も体も切り刻まれ、ボロボロになっていた。
それでも、かまわずに女は少女と同じく膝立ちになり、少女を抱き締めた。
「ごめんね…あたしがもっとあなたと一緒にいられれば…ごめんね…こんな母親で…」
すると、一緒に近づいてきていた男も少女を抱き締めた。
「お前は…俺達の立派な娘だ。これから、いろんなことがあるかもしれなが、一生懸命生きてくれ」
その言葉は、まるで別れの言葉だった。
すると、女は男を見やる。
「あなたも…ごめんなさい」
「いや、いいんだ。お前を一人では逝かせない。それに、サポートするのが、パートナーの役目だからな」
男の手には、なにやら魔法道具らしきものが握られている。
「ありがとう…」
女の目には、涙が溜まりいまにも零れ落ちそうだった。
「行くわよ」
「あぁ、頼んだ」
そう言うと、女の足元から赤色の魔法陣が現れた。
その魔法陣は、どんどん広がり半径5メートル程まで大きくなる。
ちょうど、魔法の壁ができてるあたりまでだ。
すると、少女を強く抱き締めた。
「今、助けるからね。これが、母としてできる、最後のこと…」
「×××…」
女は少女の名前を呼んだみたいたが、聞こえなかった。
瞬間、辺りは目映い光に覆われた。
光が収まると、魔法の壁は消滅し、その場には少女と、少女へかけよった男女二人が倒れていた。
「治癒魔法を使える者は、すぐに治療にあたれ!それから、救急車の手配も急げ!」
局長は、大声を張り上げそう命令をした。
周りにいた魔法士達が、倒れている3人へと駆け寄っていく。
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