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あの日は、空は分厚い雲に覆われ、日の光が通る隙間もなかった。
そんな中、東京のビル郡の間に桃色に輝く光が見える。
その光の中心部には、一人の少女がいた。
少女の足元には、桃色の魔法陣。
光は、柱となり空へと立ち上っている。
少女は両膝を地面に付きながら、気を失っていた。
その周りには、魔法士の制服に身を包んだ人々。
魔法士以外はあたりに人影は見当たらない。
あたり一帯を、封鎖しているのだろう。
魔法士達は、少女の魔力放出が凄まじすぎて、誰も近づけないでいる。
そんな中…
「あたし達が、なんとかする…」
そう言って少女へ近づいていく、女性と男性がいた。
魔法総務局で、エースと呼ばれる魔法士とそのパートナー。
「ま、待ちなさい!あの魔力に巻き込まれたら、いくらあなた達でもただではすまないわ!」
そう言って止めたのは、魔法総務局局長。
「それでも…あたし達がなんとかしなきゃ。だって、親だもの」
そう言うと再び少女へと近づいていく二人。
「あなた…お願いね」
「あぁ…」
そう返事をすると、男はばかでかい鞄の中から道具を取り出す。
その中からは、長い棒のようなものが数本出てきた。
それらを、少女の周り半径5メートル程に次々射していく。
終わると、その棒から棒へと魔法の壁ができあがっていく。
その魔法道具によって作られた壁によって、少女、それに女と男の周りが囲まれている。
「まさか!」
局長が叫んだ。
二人が何をするか、わかったのだ。
「やめなさい!二人とも。そんなことしたら、確実に死ぬわよ!」
女は局長へと振り向き悲しそうな表情を見せた。
「ごめんなさい。でも、この子を救うにはこうするしか方法がないの」
すると、女は局長へ向かって笑ってみせた。
「今までありがとう。局長…いえ、玲奈」
そう言うと少女へと近づく。
そして、少女の魔力が放出されてる範囲へと足を踏み入れた。
うっと苦しそうな声をあげるが、耐える女。
体は、少女の魔力によってどんどん傷ついていくが、耐えながら一歩一歩少女へと近づく。
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