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あの時、暗闇の中に声が聞こえた。
あたしを呼ぶ声が。
目覚めると、病室の清潔で真っ白な天井が目に入ってきた。
身体中が痛い。
何があったのか、まるで覚えてない。
少女は、ゆっくりと身体を起こし病室の窓から見える夕日を眺める。
一人ぼっち。
両親の姿が見えない。
どこにいったんだろう。
そんなことを考えていると、病室のドアがガラッと音を立て開く。
そこに立っていたのは、見たことのない女性だった。
誰かと少女は問う。
その女性は、魔法総務局局長だと答えた。
なぜ、そんな人があたしに会いに来たのかわからない。
女性は、続ける。
その、女性の口から信じられない言葉が飛び出した。
あたしの・・・両親が死んだ?
交通事故?
え・・・
あたしは、急すぎる話に頭がついていかず、頭が真っ白になる。
この人は、何を言ってるんだろう。
あたしの、頭の中に決して色褪せることのない、幼少時の記憶がよみがえる。
あたし、魔法士になる。
お母さんみたいな、立派な魔法士に。
そう言うと、母親は照れ臭そうに笑って、あたしの頭を優しく撫でてくれた。
瞬間、少女の目尻からこぼれ落ちた涙が頬を伝い、毛布を握っていた手の上に落ちる。少女は、ギュッとより一層強く毛布を握りしめた。
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