トイレという密室

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それは、一気にトランクスをズボンまで引きずり下ろすと、トランクスとズボンを一緒に足首まで強引に下ろす。 何かは複数あるのか? ゆっくりとゆっくりと左手に目だけをむける。 「――――!」 目にその何かが見えた。 息が止まる。 その何かは手だ。 細く白い長い指。 手首から肘までの前腕は長く、顔を向けないないと全体は確認出来ない。 俺の手首を離すと右側の腰に左手を当てる。 もう片方の――多分右手でしっかりと左側の腰を掴む。 右側を引かれ、左側を押される。 強引に身体が便器に向けられる。 便器に強引に向けられてバランスを崩し背中を壁に打ち、ズルズルと座り込む。 床が冷たい。 目の前には白い便器。そこから白くて長い二本の腕が出ていた。 数は二本だ。 どうやって左手を掴みながらトランクスを下ろした? いや、そんな事よりも出ないと。 二本の腕と共にトイレに引きずり込まれるのは嫌だ。 右側にあるトイレの鍵に向かって、身体を引きずり上半身を捻って左手を伸ばして鍵にてをかける。 ――ガチャリ。 鍵が開いた。 ドアは内側からなら押して開く。 俺はそのままトイレのドアに身体を預ける。
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