されるがまま

2/5
前へ
/9ページ
次へ
トイレの扉は開かない。 急所は握られている。 俺は大きく深呼吸をして、ため息を吐き出した。 開き直った。 俺は両手をあげてブラブラと振り、そのまま床にだらしなく置く。 ――トイレに引きずり込むなり、急所をもぎ取るなり好きにしろ。 口の中でつぶやき、白い手を睨む。 左手が目の前に伸びて来て、握りこぶしを作り、親指を天井にむける。 これって『ナイス』とか『良いよ』とかいう合図だよな。 これから命を取られるかもしれないのに、思わず吹き出した。 おかげで、肩の力が抜けて緊張感は全くなくなる。 そんな俺に気をよくしたのか、左手も股間に伸びていく。 右手は相変わらずモミモミ。 左手の人差し指が俺の先端にちょこんと触れた。 冷たい。 触れた指はそのまま裏筋を撫でる。 残り四本の指で棒を包み込む。 そのまま手の中にある大きさに合わせてゆっくりと上下を始める。 この動作は……いわゆる――。 これが綺麗な裸の女性ならともかく、目の前にある異常な長さの腕と冷たい手、背中の痛みで元気は『全く』ない。 しばらくもぞもぞと動いていたのだが、反応がなかなかないのを感じたのか、二本の人差し指が伸びてきた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加