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「武蔵って子も出てるわね」
ミナがそう言うと、咲は眉間を寄せた。
武蔵なんか見たくないと思うのに…。
そう思っているのに、武蔵は橘のマッチアップで、もれなく視界に入ってしまう。
それでも咲の視線は、橘を追いかけた。
「武蔵って子、上手いわね」
隣のミナがポツリと呟く。
ミナの呟きが聞こえて、咲は内心で抗議したが、滅多に人を褒めないミナが上手いと言ったのがめずらしく、武蔵に視点を合わせた。
ディフェンスをする武蔵に、橘が攻めあぐねている。
先程、自分とマッチアップした時より、武蔵の動きが早くて力強い。
ここで、違う意味で落ち込んだ。
自分は本気で勝負したのに、武蔵は本当に本気を出して無かったのだ。
咲は溜め息を吐きながら、男子のゲームを見続けた。
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