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「あんた、あたしとやってる時、本当に本気出して無かったんだね」
咲がそう言うと、武蔵はフっと小さく笑った。
「なに笑ってんのよ!ムカつく!!」
「いや、ごめん。おまえ本当に昔と変わってないのな。負けず嫌いなとこ」
そう言って、武蔵は優しく笑う。そして、急に武蔵の手が頭に乗った。
咲が呆気に取られていると、武蔵の手が、頭をぽんぽんと優しく叩く。
「俺はけっこう必死だったぞ。1発目のドライブなんてマジで抜かれるかと思った」
武蔵はそう言って、ニッと笑った。
ま、ちょっとだけだけどな。
そう小さく付けくわえてから、武蔵は走ってモップをかけに行ってしまった。
アイツ…。
咲は、武蔵の背中を目で追う。
あんなに小さかったくせに、見降ろしやがってムカつく!
咲は、フンっと武蔵に背を向けた。
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