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忍太郎はぶらりと立ち上がると、すけすけピンク色のブラジャーを手にとった。
犬のようだと形容したら、それこそ犬に失礼といえる。
そこに愛くるしさなんてものはあるはずが無く、ただ狂おしさがあるのみだ。
男のなめまわす動作というものは、なぜこれほどまでに見るに耐えないものなのだろう。
彼はブラジャーを、べろべろとなめまわしている。
せわしない舌の動き、豚のような鼻息――間違いなく、こいつは人類の退化をたどっている。
そして彼は下劣にも、その凹凸のない胸に、ブラジャーをあてがった。
ホックが閉じられる。
ああ、だめだ。
人類の新たなる退化が指し示す終焉の姿がそこにはあった。
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