そんなこんなで異世界へ

3/6

139人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
《クスクスクス…。違いますよ、残念ながら。当たらずも遠からずってところです》 声はすれども姿は見えずってか? 「ガルルガ?グルフ!(誰だ?姿を見せろ!)」 《フフフッ…私の名はクローフィア。 貴方の生みの親であり、この世界の名を冠すもの。 貴方の目に映るもの全てが、私と言う世界の一部ですから、私はもう貴方の目の前にいるのですよ》 「グルッ!?(何!?)」 キョロキョロと首をめぐらして、辺りを見回すと、また笑われた。 《クスクスクス…あぁそうそう、あまり声をあげないほうが良いですよ? 人間がやって来ますから》 そう言われて、俺は慌てて声をひそめると問う。 「グルルア?(どういうことだ?)」 《人間たちは、人を襲わないドラゴンまで、危険だからという理由で殺戮しています。 ドラゴンたちは、森の奥でひっそりと暮らしていますが、食べ物を取りに森から出ると、人間たちがよってたかって殺してしまうのです》 「グルァア!?ルーアグラウ?(なんだと!?罪もないのにか?)」 《えぇ》 俺はゴツゴツとした大きいであろう手を握り締めた。 ふつふつと沸き上がってくる熱いものが、身体の中を駆け巡って今にも大きな声で叫びそうになった。 この身体がドラゴンであるせいなのか、怒りが止まらない。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加