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《クスクスクス…。違いますよ、残念ながら。当たらずも遠からずってところです》
声はすれども姿は見えずってか?
「ガルルガ?グルフ!(誰だ?姿を見せろ!)」
《フフフッ…私の名はクローフィア。
貴方の生みの親であり、この世界の名を冠すもの。
貴方の目に映るもの全てが、私と言う世界の一部ですから、私はもう貴方の目の前にいるのですよ》
「グルッ!?(何!?)」
キョロキョロと首をめぐらして、辺りを見回すと、また笑われた。
《クスクスクス…あぁそうそう、あまり声をあげないほうが良いですよ?
人間がやって来ますから》
そう言われて、俺は慌てて声をひそめると問う。
「グルルア?(どういうことだ?)」
《人間たちは、人を襲わないドラゴンまで、危険だからという理由で殺戮しています。
ドラゴンたちは、森の奥でひっそりと暮らしていますが、食べ物を取りに森から出ると、人間たちがよってたかって殺してしまうのです》
「グルァア!?ルーアグラウ?(なんだと!?罪もないのにか?)」
《えぇ》
俺はゴツゴツとした大きいであろう手を握り締めた。
ふつふつと沸き上がってくる熱いものが、身体の中を駆け巡って今にも大きな声で叫びそうになった。
この身体がドラゴンであるせいなのか、怒りが止まらない。
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