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よく、『心霊スポットに行くと、お持ち帰りすることがある』と、噂になっていることは知っているだろう。
しかし、けして心霊スポットではなくとも、『お持ち帰り』することがある。たとえ、そういう体質でなかったとしても……。
彼も、その内の一人である。
ある晴れた日の休日、某ファストフード店で、彼は『お持ち帰り』した。もちろん、お持ち帰りしたのは、ハンバーガーセット。ドリンクもポテトもLサイズにしてもらって。女性店員が、スマイル0円で対応してくれた。
「以上で宜しいでしょうか?」
「それと、この100円のソフトクリームも。」
彼は小声で追加した。彼女は気をきかせてくれて、リピートしないでくれた。
彼は、ソフトクリームを嬉しそうに食べながら、某公園へ向かった。彼は、天気がいい休日は必ずこの公園でのんびりと過ごす。社会の荒波と上手く付き合っていくための、彼なりに考えたリフレッシュ方法だった。
彼は、買ってきたセットを食べながら公園で遊ぶ人達を眺めていた。食べ終わると、公園に備えつけのごみ箱へ捨ててから帰宅する。彼が家に着くころには、空がオレンジ色に染まる。
晴れた日の休日は、いつもこんな感じだった。
「さぁて、晩飯でも作るか。」
しかし、一人暮らしの彼は、なぜか数ヶ月前から”二人分”作っていた。
もちろん、彼が一人暮らしを始めて以来、自分が借りている部屋に友人や同僚を上げたことがない。
「しまった!!また、二人分作っちまった。」
彼は、自分が『お持ち帰り』していたことに、まだ気づいていない。
ところで。彼は一体、いつ、どこで、何を『お持ち帰り』したのでしょうか、ね?
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