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目の前に肉迫してきた光を斬り殺すべく刀を斜め下から振り上げた。
しかし、振り上げた刃は、光を斬り裂く事は無かった。
刃が光を斬るよりも先に、光がもう一歩間合いを詰め、和矢の右手を右の掌打で弾いたからだ。
そして、掌打の勢いを殺さず、その場で一回転、途中で左足が地を離れて踵から和矢の頭目掛けて回し蹴りが放たれる。
「ちっ」
腕を弾かれ、体勢を崩した和矢は短い舌打ちを打ちながら、眼前に迫り来る蹴りを躱そうとする。
だが、和矢が躱すよりも先に、光の蹴りが和矢の横っ面に叩き込まれた。
「がっ!!」
回転エネルギーが乗りに乗った蹴りに、和矢は倒れそうになるのを堪え踏みとどまる。
しかし、和矢が踏みとどまった次の瞬間には、和矢の身体は宙に浮いていた。
バランスをとろうとした左手を掴んだ、一本背負いである。
そのまま地面に頭から叩き落とす。
「和矢さん!!」
「火澄君!!」
二人の戦闘を見ていた由紀と杏香が息を呑んだ。
なぜなら、和矢が頭から叩き落とされた地面にはちょうど尖った石があり、和矢はその上から受け身を取れずに落とされたからだ。
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