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膝をつく光を見下しながら、何の感情も無いように和矢が呟く。
「ふふ、驚き……ました」
血を吐きながら、足に力をいれ立ち上がる光。
「確かに、殺し……た、と、思ったん……ですが」
負け惜しみのように呟く光であったが、誰の目から見ても顔色が良くない。恐らくは立っているのもやっとな筈だ。
「詰めが甘い。殺すつもりなら、頭を潰すなり、心臓を串刺しにしろ」
冷静に言いながら、止めを刺すべく、歩み寄っていく。
「はは、次からは、そうします」
目の前に立つ和矢に笑顔で答える光。
「次は無い」
冷たく言い放ち、和矢は止めと言う名の作業を終わらせようと、刀を振る。
だが、和矢の思いに反して、思い掛けない事が起きた。
「え!?」
「ちょっ!!」
事の成り行きを見守っていた二人が、思いがけず間抜けな声をあげ唖然とする。
二人の目の前で、和矢と光が接吻をしていたからだ。しかも深い方である。
流石の和矢も、この事態には思考がついていかないのか、目を見開いたまま固まっている。
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