第二十五運命 ひずみ

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 和矢が止めを刺そうと、刀を振った時、光は避けようとはせず、逆に一歩踏み込み右手を抑え込むと、空いている手で和矢の胸倉を掴み寄せ、口づけを交わしていた。  「………ぷはっ」  十秒近い口づけから、光が唇を離すと、ようやく和矢も正気に戻ったらしく、蹴りを放つ。  「危ないな」  その蹴りをふわりと躱すと、光は和矢と距離をとる。  「次は必ず殺しますから、火澄和矢、さん」  そう言うやいなや、脱兎の勢いで逃げ出す。  その速さはとても重傷を負ってる人間の動きとは思えない程である。  「逃がすか」  しかし、和矢も逃がす気は無いようで、逃げゆく光に風の刃を飛ばす。  だが、次の瞬間には、後ろ姿が視界から消える。  「!!」  これは和矢も予想外らしく、駆け出すと、光が消えた辺りで足を止めた。  その先は、傾斜の高い斜面になっており、先程、光が消えたように見えたのは、この斜面を滑り落ちていったからだろう。  「…………逃がしたか」  斜面の下にも木が生い茂っていて、とてもではないが光を見付ける事は出来そうに無かった。
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