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追跡が出来ない状況から、諦めたらしく刀を鞘に納めると踵を返す。
「そんな、そんな、そんなそんなそんなそんな、そんな事が」
「…………………………………」
杏香達の所に戻ると、二人の乙女は地に膝と手をつき、俯きがちに何かを口走っている。
杏香に至っては、ぶつぶつと聞こえない程の声音で何かを呟いている。
「………………おい」
思わず、溜め息を吐きそうになるのを堪え、和矢は前髪を掻き上げた。
「!! は、はい!!」
「……………は!! 火澄君?」
和矢の呼び掛けに跳ね起き、我に返る二人に、和矢は微笑を浮かべて言った。
「帰るぞ」
返事を待たず歩き出す和矢、その後を由紀と杏香が追う。
「あ、待って下さいよぉ~」
「はい!!」
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