間章 乙女達の午後

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 「あはは」  木々が生い茂る池から盛大な笑い声が聞こえる。  「それじゃ、あのオカマさんに、お兄ちゃんの唇奪われちゃったんだ」  笑っているのは柴珠であった。  「うぐ」  「………そうゆう事になる、のかな」  情け容赦ない柴珠の言葉に、再びダメージを与えられる乙女が二人。  言わずもがな、杏香と由紀である。  「でもさ、別にアイツは初めてじゃないだろ」  「沙鳥、問題はそこじゃないと思うんじゃが」  「男に先を越された。それが問題なのよ」  三方向から、仮想の鋭い槍が二人を串刺しにしていく。  「止めを刺してどうするの紅葉」  プレネールが呆れたように、されど、存外楽しそうに呟く。  「にしても」  今まで黙っていた恵が口を開く。  「外見は女でも、男同士で、その、き、キスって、何を考えてんのかね」  恐らくは、その姿でが頭に横切ったのだろう。頬を朱に染めて言う恵。  「なら、してみれば解るんじゃない?」  そう言って柴珠は恵にキスをした。  「な、なにしやがる!!」
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