50人が本棚に入れています
本棚に追加
「あはは」
木々が生い茂る池から盛大な笑い声が聞こえる。
「それじゃ、あのオカマさんに、お兄ちゃんの唇奪われちゃったんだ」
笑っているのは柴珠であった。
「うぐ」
「………そうゆう事になる、のかな」
情け容赦ない柴珠の言葉に、再びダメージを与えられる乙女が二人。
言わずもがな、杏香と由紀である。
「でもさ、別にアイツは初めてじゃないだろ」
「沙鳥、問題はそこじゃないと思うんじゃが」
「男に先を越された。それが問題なのよ」
三方向から、仮想の鋭い槍が二人を串刺しにしていく。
「止めを刺してどうするの紅葉」
プレネールが呆れたように、されど、存外楽しそうに呟く。
「にしても」
今まで黙っていた恵が口を開く。
「外見は女でも、男同士で、その、き、キスって、何を考えてんのかね」
恐らくは、その姿でが頭に横切ったのだろう。頬を朱に染めて言う恵。
「なら、してみれば解るんじゃない?」
そう言って柴珠は恵にキスをした。
「な、なにしやがる!!」
最初のコメントを投稿しよう!