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「それだけなら良かったんだがな。あの男は、自身で作り出したが制御が出来ず、暴走した化け物をここに何匹も放置しているらしい」
肩を竦め、呆れた様子で語る刃の話に、柴珠は少しだけ違和感を覚える。
「なら、なんで転移しないの? アンタ達なら転移で自由に移動出来る筈でしょ?」
至極当然の疑問に、刃は一度だけ深い溜め息を漏らし答える。
「それが出来れば、既にここにはいない。ここは転移が出来ない」
「あ、アンタも苦労してるんだね」
羽柴の手下も大変なのだろうと、同情しそうになるのを頭を振って打ち消す。
「で、私と戦う気がないのは、解ったけど、これからどうする気なの?」
「少女よ。貴様も崩落に巻き込まれたのだろう?」
刃の発言で、柴珠は気を失う前の事を思い出した。
柴珠は仲間達といたのだが、突如として地面が崩れ落ち、それに巻き込まれたのである。
恐らく、他にも数名巻き込まれている筈だが、柴珠は心配はしていなかった。
殺したって死ななさそうな者ばかりである。自分でなんとかするに違いない。
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