50人が本棚に入れています
本棚に追加
/1258ページ
「おい和矢。起きろ」
五月蝿い声が少年の事を呼んでいる。
寝ていた意識は五月蝿い奴の所為で急速に目覚めていく。
(確か最後の授業中に寝てたんだっけか?)
「和矢、和矢、なぁニュースみた?」
(ああ、五月蝿い、人の名前をそう連呼するな)
そんな思いを呑み込み、さっきから一方的に話し掛けてくるクラスメートを見る。
「何のニュースだ?」
相変わらずこのクラスメートの話は主語が抜けていて解らない。
「ほらほら、一ヶ月前の神隠しの事だよ」
「ああ、その事か」
一ヶ月前とある高校から行方不明者が出た。それも十八人も、だ。
「見てないな」
「マジで? 何かまだ見つかって無いらしいぜ」
「そうか」
少年は淡々と会話を切り捨てる。
「でもさ、一校だけじゃなくてさ、十校同時だぜ? 幾ら何でも手掛かりすら見つからないってどう思うよ?」
そう、行方不明者が出たのは一校だけではない。十校同時なのだ。
更にその十校は近場ではなく、県を跨いでいての十校だ。同一犯では無理であろう。
だが、行方不明者には共通点があり、それが同一犯ではないか?という矛盾を生む。
最初のコメントを投稿しよう!