第一運命 運命を視る者

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 「おい和矢。起きろ」  五月蝿い声が少年の事を呼んでいる。  寝ていた意識は五月蝿い奴の所為で急速に目覚めていく。  (確か最後の授業中に寝てたんだっけか?)  「和矢、和矢、なぁニュースみた?」  (ああ、五月蝿い、人の名前をそう連呼するな)  そんな思いを呑み込み、さっきから一方的に話し掛けてくるクラスメートを見る。  「何のニュースだ?」  相変わらずこのクラスメートの話は主語が抜けていて解らない。  「ほらほら、一ヶ月前の神隠しの事だよ」  「ああ、その事か」  一ヶ月前とある高校から行方不明者が出た。それも十八人も、だ。  「見てないな」  「マジで? 何かまだ見つかって無いらしいぜ」  「そうか」  少年は淡々と会話を切り捨てる。  「でもさ、一校だけじゃなくてさ、十校同時だぜ? 幾ら何でも手掛かりすら見つからないってどう思うよ?」  そう、行方不明者が出たのは一校だけではない。十校同時なのだ。  更にその十校は近場ではなく、県を跨いでいての十校だ。同一犯では無理であろう。  だが、行方不明者には共通点があり、それが同一犯ではないか?という矛盾を生む。
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