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和矢が目覚めてから時間にして五時間ぐらい経っただろう。
その頃には、だだっ広かったフロアにはむせかえる用な数の人がいた。六千人弱迄は数えてはいたが、徒労だと思い数えるのを辞めてしまった。
(今は一万ちょいはいるな。…………ああ、それにしても五月蝿い、ウザい、鬱陶しい、たっく、泣くな喚くな怒鳴るな)
このフロアはざわざわと忙しない。
だがそれを打ち砕くような変化が訪れた。
「やあやあ、一万五千九百三十九人の諸君、大変長らくお待たせしたね」
「おいおい」
和矢は声の主を見て絶句する。
顔は仮面をしていて解らない。真っ白い生地に鮮血でも染み込ませたかのような深紅のローブを着て。声は変声機でも使っているのだろう、酷く中性的な感じを受ける。そんな奴が今自分達の目の前で宙に浮かんでいた。
「君達を此処に集めたのは、他でもないこの私だ。諸君にはとある事をして貰いたい」
ふざけるな、家に帰して等の罵声、悲鳴などが聞こえてくるが、ソイツは黙殺し言葉を続ける。
「諸君等には私を楽しまして貰いたい」
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