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「お疲れ様」
野太い声と共にどっしりとした体型の小太りの男性が現れた。
「部長!
お疲れ様です」
社員達に一気に緊張が走る。
うちの課の部長。
あたしの直属の上司にあたる人だ。
「冬野く~ん君先方からクレームきたんだって?」
部長はあたしにグッと顔を近づける。
気持ちが悪いがあたしは堪える。
「はい」
あたしは申し訳なさそうに返事をする。
「頼むよ~。
君はただてさえ女で不利なんだからさ」
あたしの手をベタベタ触りながら部長は言う。
皆部長には逆らえず止める人はいない。
「……部長、お言葉ですが失敗したのは私です。
主任のせいではないんです」
あたしをかばうように秋津が部長に反論する。
「何なんだね、君は?
ん?
ん?」
部長は舐めるように秋津を見る。
明らかに不機嫌な顔をしている。
「おやめなさい。
部下が失礼しました。
部下の責任は直属の上司である私の責任です」
あたしは秋津を制止し、部長の顔色を伺った。
「全く。
部下のしつけもちゃんと頼むよ。
てか、できてんのかい?」
あたしと秋津を部長は変な目で見ている。
「……部長。
それはセクハラですよ」
ムッとして秋津は部長に言い返す。
「……たく。
部下が部下なら上司も上司だな」
さすがに『セクハラ』と言われ罰が悪くなったのか部長はさっさと戻って行った。
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