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***
定時になり社員達は退社して行った。
秋津を残して……。
「秋津君、お疲れ様」
残業中の秋津にあたしは声をかける。
「あ、お疲れ様です」
一生懸命デスクにかじりついていた秋津はあたしの声に反応し頭を上げた。
「これ差し入れ」
あたしは近くのコンビニからかってきた食料を秋津に渡す。
「ありがとうございます」
あたしに頭を下げ秋津は食料を受け取る。
「……さっきはありがとね」
何の前触れもなしにあたしは秋津にお礼を言う。
「何です?
唐突に……」
意味がわからないお礼に秋津は首を傾げた。
「部長が来た時の……」
あたしは申し訳なさそうに切り出す。
「俺ああいうの許せないんです」
あたしの差し入れのおにぎりを食べながら秋津は言う。
「カッコイイ」
秋津って意外にそういうとこがあるんだね……。
「そういうんじゃないんです。」
秋津は顔を左右に振り否定した。
「……ごめんね。
軽はずみな発言して」
そうよね。
秋津は見返りを期待してするような人じゃないもの。
「俺んち結構亭主関白だったから余計になんですけど、男子が女子がという偏見許せないんです」
ギュッと秋津は飲みかけのお茶のカップを握った。
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