はじめに

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次の日の朝も主人はまだ怒っていた。 いつもなら玄関まで私とお見送りをするレティに頬擦りをして 「レティ~。行ってくるよ~。」 と言うのだが、それもしない。 レティもしゅんとしたままだった。 私はため息をついた。 「どうしようかねぇ。お前もお父さんの大事なもの、かじっちゃダメでしょ。」 私はレティの頭を撫でながら呟いた。 ところで私たちはまだ子供がいないのに、お互いのことを『お父さん』『お母さん』と呼びあっていた。 今日は火曜日。 私がパートに行っている店は休みだ。 主人が行っている店は年中無休なので今日は仕事である。休みは交代制だった。 私は主人を送り出した後、洗濯と掃除を済ませてレティと散歩に出た。 散歩に行ってもレティは何となく元気がない。 お父さんのこと、落ち込んでいるのかなぁ…… 私はレティが心配になってまた溜め息をついた。 .
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