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「ででぃ~。ででぃ~。」
のぶとしはすっかりレティがお気に入りだった。
レティものぶとしが部屋から出てくると後をついてくる。
のぶとしがちょこんと座るとレティも側に座る。
「ででぃ~。おいで~。」
レティがついてくるのが嬉しいらしい。
ある時、以前に買ってもらったビニール性の野球バットでレティを叩いたのだ。
もちろん、のぶとしは遊びのつもりだ。
だがレティは「きゃん」と鳴いて座敷机の下に隠れてしまった。
のぶとしはそれでも机の下をつついたりしている。
それを見た主人はのぶとしからバットを取り上げ叱り付けた。
「のぶ!そんな事をしちゃいかん!」
急にバットを取り上げられ大声で叱られたのぶとしは、泣き出してしまった。
するとレティが机の下からちょこちょこと出てきて、のぶとしの前にすわって主人を見た。
「レティ?」
レティは「くぅん」と鳴くと、のぶとしのほっぺをなめ始めた。
そして、もう一度主人を見て鳴いた。
「レティ……。」
レティは自分が叩かれたのに、のぶとしを庇ったのだ。
「のぶくん、レティにごめんねしてね。」
私が言うとのぶとしはレティの体をきゅっと抱き締めて
「ごめんね、ででぃ。」
と言った。
主人もそれを見て呆れたように苦笑するのだった。
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