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まいが生まれて新生児センターに運ばれてから1ヶ月半。
やっと普通の体重になったので退院出来たのだ。
「予定より半月も早く退院できて良かったね。」
友人が言った。
「え?そ、そうだね…。」
私は言えなかった。
入院中、未熟児で生まれてすぐに全身の血液を入れ替えなければ死ぬと言われて、生きるか死ぬかという経験をした娘なのに。
私はまいが入院中、お乳を絞って凍らせて休みごとに病院に持っていった。
それを看護婦さんが解凍して娘に与えていた。
まいはいつも真っ青になってお乳を飲んでいたのだ。
つまり呼吸をするのも忘れてお乳を飲みまくっていたらしい。
チアノーゼを起こしてまでお乳を飲みまくる事に看護婦さんが心配してお乳をはずすと、途端に泣き出すらしい。
病院から娘の毎日の様子を書いてくれる絵日記のようなノートに書いてあった。
『まいちゃんはとても元気です。息を吸うのも忘れてお乳を飲んでいます。』
なんという意地汚さ……
私は穴があったら入りたい気持ちだった。
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