はじめに

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当の本人、いや本犬はスッキリした顔で私の膝に乗ってきている。 「やっぱり乗せる前にオシッコさせとけば良かったね。」 私はレティの頭を撫でながらそう言った。 かくして友人宅に着いた主人は、たまたま載せてあった新聞紙を腰に巻き付けて駐車場から友人の家まで歩いてゆかねばならなかった。 ところで友人というのは主人の中学からの親友で、吉野さんという今でいうイケメンであった。 昔から女にモテて、女を切らした事がないとか。 まあ、私にしてみれば何処がそんなにいいのかは解らなかった。 以前、言ったことがある。 「吉野さんってフェロモン出してるって言うけど、何処が出てんの?」 「いや、俺、たえちゃんには出してないから。」 吉野さんにそう言われた。 その吉野さんも私たちより少し遅れて結婚した。 もっとも後で吉野さんの幾度とない浮気が原因で離婚したのだが……… とにかく当時は吉野さんとも家族ぐるみの付き合いをしていたのだ。 .
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