後継ぎ

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ちっぽは相手が娘だったが、やはり怖かったのだろう。 娘に悪気はなかったのだと思う。 それが証拠に 「お父さんと一緒したかったの。ちっぽ、きれいきれいにしてあげたかったの。」 と言った。 お父さんと一緒……? あー、そういうことね。 前にも書いたが主人は理容師だ。 仕事中の主人を子供たちは何度も見ている。 娘は主人が大好きだったし、それでちっぽを自分なりにきれいにしてやろうと思ったらしい。 だが悪いことは悪いこと。 ちっぽも怯えてしまっている。 私は娘からハサミを取り上げると、娘の視線まで腰を落として言った。 「まい、お父さんはお仕事でしてるんだよ。それにちっぽだって怖がってるでしょ?ハサミは危ないものなの。まいはまだ使っちゃダメだからね。ちっぽの毛だけで良かったけど、もし怪我でもしたら大変なことだったよ。」 「うん……。」 本当に毛だけで良かった。 もし肉にでも当たってたら…… 私はちっぽを見た。 良かったね、ちっぽ…… ぷっ 私はちっぽのバンビ模様を見て思わず笑いそうになった。 .
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