4人が本棚に入れています
本棚に追加
この場に全くそぐわない色に思わず足を止め、悪魔の顔を凝視する。
「…………すまない……」
…音にならない言葉。
しかし確かに唇は謝罪の言葉を形づくっていた。
それを期に、悪魔は動かなくなった
何故?
何故、謝罪なのだ?
問いただそうにも、もはや事切れて動かない。屍に語りかけても返事があろうはずがない。
誰が、こんなに穏やかな目をした者達を悪魔だと言った?
……そもそも、何故、このような事態になった?
悪魔を滅ぼせと唱和する仲間の声が遠くに聞こえる。
同時に悲鳴が幾重にもあがり、そして消えていく。
この戦いが始まってから、もう何度も耳に入ってくる音が、今、はじめて悲痛なものだと感じた。
……せめて、祈りを。
「死者を弔う優しさ。それでこそ、君だ」
最初のコメントを投稿しよう!