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携帯を開くといつもより7分ほど遅れていた。
だが自分はマイペースだと自負しているため気にはせず、いつもの登校コースを邁進する。
一真(かずま)が住んでいるここ、愛住町(あいずみちょう)は、かの有名な武将、直江兼続が治めていた町である。
というのも、一真の名字は直江であり、つまりは直江兼続の末裔である。
そのため、一真の父、兼義(かねよし)は、先祖代々町長を務めている。
母は役場で専務を勤めており、一真は町立愛住中学校の2年生になる。
直江兼続の末裔というだけあり、家庭は裕福で今までそんなに不自由はしなかった。
もちろん、周囲からは珍しがられるが、特別視されるわけではなく、他の者と同様、つまり平等に扱われている。
学校までは徒歩で20分くらいといったところだろう。
自転車通学でもいいのだが、一真は健康のため徒歩で登校している。
教室の左端、窓側最後尾という昼寝にはうってつけの自分の席につく頃には、始業のチャイムまで残り2分となっていた。
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