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朝のHRが終わるや否や、一真の前席の主、一真の愛すべき親友、斗真(とうま)が話し掛けてきた。
「今日は珍しくギリだったな。なんかあったのか?」
「なんもねぇよ。それより一時間目n」
「ちょっと一真!!遅くなるなら連絡くらいしろーっ!!」
一真は物凄い勢いで机にダイブした。
何事かわからぬうちに一真を後ろから殴ったであろう犯人が追い討ちをかける。
「いつくるかと連絡待ってたのに全然携帯が鳴る気配がないんだもん!アタシまで遅刻しそうだったじゃないオンドリャー!!」
これでもかと一真の頭を机に叩きつけるのを見かねた斗真が止めに入る。
「おいおい。それ以上やったら一真が絶命しかねん。その辺にしとけ。」
一真は軽く意識が飛びそうになっていた。
一真をこのような状況に追いやった犯人、名を赤坂(あかさか)れいんという。
一年前一真の隣の家に引っ越してきた女の子で、気が強く、時間にとにかく厳しい。
お隣さんというのもあり、一真と一緒に登校しているのだが…
「いたたたたっ…何すんだれいん!!殺す気か!!」
頭を抑えながら後ろのれいんに訴える。
「当然の制裁よ。アタシがアンタみたいなフツーの男の子と一緒に登校してあげてんのに、遅れたにも関わらずしかも連絡もよこさないなんて…恥を知れバーカ!!」
こういう具合に女王様思考のため、なんでもないことで一真と衝突するのである。
一真もこれに負けじと反論する。
「俺がいつお前に一緒に登校してくれって頼んだよ!?それに連絡はいつもお前からじゃねーかよ!」
「はいはいお二人さん、そこまでだ。仲のいいのには関心だが、あんまり目立ちすぎるのは見てられなくなる。見ろ。周りの目を。」
一真とれいんが周囲に顔を向けると、クラスメートがこちらを凝視していた。
2人とも大声で討論していたので無理もない。
「な?」
斗真が2人の肩に手を置き、交互に目をやる。
一真とれいんはこれを払うと同時に、
「ふんっ!」
と意味ありげに鼻をならし、そっぽを向いた。
やれやれといった感じに斗真が両手を上げて、首を振る。
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