一回転

2/6
2685人が本棚に入れています
本棚に追加
/408ページ
満開だった桜の花がひらひらと散っていく。 その様はとても寂しく感じるけど、花の代わりに柔らかな緑色の葉が芽吹いてきていた。 人通りの多い朝の道路。 その街路樹の桜の木の下で、私……つい最近幕末から帰ってきた一ノ瀬旭は、ある人を待っていました。 「む……」 ずっと着物を着ていたせいか、膝上のスカートに違和感を感じる。 そんな事をぼんやり考えていたら、ぽんと肩を叩かれた。 「!おはよ、ぅっ……?」 ――ぷにっ 「……よぉ」 振り向けば、意地悪くニヤリと笑う隼君。 ほっぺに刺さった人差し指が、少し痛い。
/408ページ

最初のコメントを投稿しよう!