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目を覚ますと、強い日差しが目を差した。思わず、眉をしかめる。
「…………ッ」
呻き声を漏らすが、二度寝はせずに起き上がる。二度寝などは許されない。
くぁっ、という気の抜けた言葉と共に、欠伸を漏らした。同時に背伸びをすると、体の節々に痛みが走る。
昨日の訓練のせいだな、と、適当に呟きながら少年……朝倉鎮(あさくらまもる)は立ち上がると、その身に衣服を纏っていく。
黒を基調とし、どことなく硬質的な印象を与えてくるそれは、軍服だった。
といっても、今年で16になる彼は正式な軍人ではなく、今はただの訓練生である。
「…………」
軍服に袖を通すと、鎮の表情も一気に覚醒する。まあ、しなければならないのだが。
そして彼は、壁に立て掛けてある布にくるまれた一本の棒を掴んだ。それは、彼が彼としてここにいる理由である。
「ふっ」
息を吐き出す。
同時。
鋭い風切り音が、室内に響き渡った。
いつの間に抜いたのか。その手には、一本の棒が握られている。
「……ん、まあ、今日も調子は上々だな」
呟き、鎮は部屋を出た。
……俺たちは、戦争をしている。
青い空を見上げ、呟きながら。
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