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鎮は……《ちから》を持つ者だ。
鎮が住む国は、軍事国家と名高い強国である。
故に、《ちから》を持つ者を積極的に登用しようとする。
鎮はその一人だ。そして、『望まれて軍人になった』鎮は、当然の如く特別な扱いを受けている。
一万人に、一人の才能。
それは、容易に妬みや妬みの対象となる。
面倒だな、と、いつものことであるからこその感想を漏らす鎮。その肩に、不意に手が乗せられた。
「よっ」
「……正木か」
軽い調子で挨拶してきた男に、鎮は眉をひそめて返答を返す。正木、と鎮に呼ばれた男は肩を竦めた。
「おいおい、冷たくない?」
「お前が軽すぎるんだ」
冷たく鎮は突き放す。
正木は、いやいや、と肩を竦めた。
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