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時は経ち、正午まであと二分を切りました。
緊張の高まる私の周りでは、もう慣れているのでしょうか、緊張感のない面々が騒いでいました。
八意永琳は、十時頃からずっと会議の準備と参加者の案内で忙しそうに右往左往しています。
「あら、雑魚が紛れ込んでいるわね。何故かしら」
花の妖怪、風見幽香が斜め前の席からこちらを見ています。
こ、怖いです……。
恐怖に怯えて竦み、縮こまっていましたところ、会議室の扉が開き、八意永琳と最後の参加者が現れました。
「全員揃ってるわね」
てっきりスキマ移動で室内に直接来るとばかり思っていた私は、そのあまりに普通な登場に面食らいました。
八雲紫の登場と共に、会議室の空気ががらりと変わります。
ここに集まる妖怪たちでさえ八雲紫に一目置いているからなのか、ただ単に会議が始まるからなのか。それとも、何か別の要因があるのか…。
私には空気が変わった理由は分かりませんが、先ほどまでとは打って変わって緊張感漂う空間になったことは確かです。
皆、席に着いた八雲紫の次の行動に注目しているようでした。
「あれ?会議始まるの?」
一人のバカを除いて。
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