阿求の記録

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  その後暫く、賢人会議は八雲紫の独演会になっていました。 八雲紫の話し方は相変わらず回りくどく難解で、皆(バカを除く)は耳を澄まして聞いてましたが、ほとんどの人(バカを含む)が意味を解りかねているようでした。 私もその例外ではなく、一生懸命聞いていたのですが、何を言っているのやらさっぱりでした……。 「……つまり、従者または親しい間柄を代理に寄越して競わせる、ということね」 八雲紫が話を総括し、締めました。 そんなに短くまとめられるのなら、どうしてあんなに長ったるく話すのでしょう? 「……しかし、不思議です。周囲の反応を見る限りでは、この話は今回初めて議題に上がったはず。何故こんなにも唐突なのでしょう?そんなことをする目的は一体?私を誘ったことと何か関係があるのでしょうか?いや、それよりも……」 ふと我に返ると、皆の視線が私に集まっています。 ま、まさか考えていたことが口に出ていました!? あまり目立たないようにしようと思っていたのに、どうしましょう。はわわわ…… 「そこの御方の言う通り、話が少々唐突すぎますね。どうしてその発想に至ったのかという経緯を皆さんに詳しく説明すべきだと思います」 「さっきの話じゃ多分誰にも伝わってないんじゃないかしら。もう少し簡単に話してあげたら、紫?」 私をフォローしてくれたのでしょうか、百蓮さんと西行寺幽々子が同意してくれました。 意図してなのかは分かりませんが、二人のおかげで注目から解放されました。 助かりました、感謝です。 それにしても、どうやら西行寺幽々子は八雲紫の説明を理解できていたようです。 さすがは旧知の仲です。
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