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八雲紫は少し考える仕草をした後、噛み砕いて説明してくれました。
「うーん、そうねぇ……。簡単に言うと、暇潰ししましょうってことね。私もそうだけれど、ここにいる皆も暇でしょう?」
頷く参加者。
「最近は大した異変もないし、つまらないじゃない?だから、私が用意したのよ。幻想郷への悪影響が少なく、かつ面白い催しをね」
八雲紫の話し方は先ほどまでとは大きく異なり、私にもとても分かりやすく、そして聞きやすいものになっていました。
「自分の従者または代わりに出てくれるという人を代理人とし、競わせるのよ。代理とはいえ自分の看板を背負わせる訳だから、本気で勝ちを狙う人は代理人選びから熟考しなければならない」
参加しないとはいえ、本人にも指揮官としての能力が問われるというわけですか。なるほど…
「あ、そうそう。競うといっても、戦闘をするとは限らないわよ。何で競うのかは、ここにいる皆で決めようと思ってるから」
「ほぅ…」と、隣の席に位置する紅魔館の主の瞳が輝きました。
「最後に言っておくけど、これは私たち全員のお祭りよ。誰が一番強いのか、という名目のね」
八雲紫の説明が終わると同時に、ざわめきが起きました。
当然でしょう。幻想郷に住む者は誰でも(外の世界はどうなのか分かりませんが)宴会、お祭りといったものが大好きなのです。
お祭りなどと言われ、盛り上がらないわけがありません。
私も、少なからずワクワクしています。
……あれ?
八雲紫が私をこの場に誘ったということはもしかして、私もそのお祭りに指揮官として参加しろということですか!?
そんな、私にそんな技量も度胸もありませんよ……。
私は宴会も祭りも、雰囲気を楽しむ派なのです。
いくら祭りとはいえ、私には荷が重すぎます。もし本当に指揮官をやらされるのなら、辞退しなければ。
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