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「八雲紫、あなたの言いたいことは分かりました。ストレスを徒に溜め込むことをせずに発散させることは悪いことではありませんから、私も気分転換のつもりで参加させて頂きます」
幻想郷の最高裁判長、四季映姫が口を開きました。
「しかし、今あなたが述べた内容だけでは、ここに御阿礼の子がいる理由が説明できていません。それを説明して頂きたいのですが」
閻魔様も、私がいることに疑問を感じたようです。
その疑問はもっともです。
私は幻想郷のパワーバランスの一角を担うどころか、一般の人間にすら劣る存在なのですから。
再び私に視線が集まります。
「ああ、その子はお祭り自体には参加しないわ。祭りの内容を事細かに歴史書に記載してもらうために呼んだのよ」
「なるほど。確かに祭りの様子や優勝者についての記載がないと、本当にただのお祭りになってしまうものね。自分で言っちゃあなんだけど、私の新聞じゃ信憑性に欠けるものね」
八雲紫の言葉に、鴉天狗の射命丸文が納得したように頷きます。
噂通り、本当に取材以外では敬語を使わないようです。
「そういうこと。稗田家は代々歴史書を記し続けている家系。その歴史書の新たな一ページに記された内容なら、事実として信頼できるでしょ」
そして八雲紫は私に、
「そういう訳なのだけれど、あなたに記載を頼んでもいいかしら?」
断る理由は特にありません。
私はその依頼を承諾しました。
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