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残暑というよりは、もはや夏真っ盛りと言った方が相応しいほどの暑さを誇る九月上旬。
幻想郷の天井に鎮座している太陽は、今もこれでもかと言わんばかりの輝きを地上の者に見せつけている。
その眩しさから逃げるように、紫は避暑地に赴いていた。
「あら、貴方にしては珍しく早い到着ね。何かいいことでもあったのかしら?」
「逆ね。面白そうなことがなにもないから早く来たのよ」
「そう、それはよかったわ。集合時間まであと一分だったから」
迷いの竹林のどこかに位置すると言われている、永遠亭。
鬱蒼と茂る竹林に囲まれたそこは、夏の暑さを凌ぐのに最適なところであり、また今回の賢人会議の場でもあった。
紫は今回のホストである永琳に案内され、会議室へと移動する。
「ほう、お前が遅刻せずに来るとは珍しいこともあったものだな。まぁビリだが」
「本当ね~。いつもは会議始まって二時間くらい経ってから、スキマ移動で来るのにねぇ」
紅魔館の吸血鬼と、冥界の亡霊姫の言葉にそうね、と軽い返事をして席に着く。
「正午になったことだし、全員揃ったところでそろそろ始めましょうか」
賢人会議が、今日も開催される。
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